ドーナツの穴

ドーナツの穴

twnovelを元に書いた小文を折本にしたり、EPUBにしたりします。うろ覚えな話もします。

第一回「文章スケッチの広場」に参加しました

趣旨に沿っているかどうか甚だ不安ですが、よろしくお願いします。

イベント詳細

novelcluster.hatenablog.jp

素晴らしい企画に参加させてくださいましてありがとうございます!

投稿作品紹介

novelcluster.hatenablog.jp

参加作品

お題「木」で書きました。(400字弱)

緑陰

 紙面に木漏れ日が、まだらの影を落としている。木製のベンチに本が開かれたまま捨て置かれていた。差してくる光に向けて上方へ視点が移動する。捻じれて鋭角的な枝に阻まれ、空は不規則に削りとられていた。丸みを帯びた若葉が空と樹木を多勢によって仲立ち、ざわめいている。そのたびに光は強くなったり、弱まったりしながら、本の上に降りそそいでいた。地面に落ちた光の中を蟻が這い、木の根元を登りはじめる。寒暖にひび割れた樹皮を辿っていた。幹の中ほどにうろがあり、そこだけは湿って苔が生えている。蟻は変化をものともせず、登攀を続けていた。この短い旅程のさきに樹液が染み出している。小さな兵隊たちの目的は、これであった。葉音が大きくなり、細い枝がたわむ。虫が食い、変色した葉が数枚、風の勢いに負かされて落下した。そのうちの一枚が、さらに煽られ、舞い上がる。本の紙面へ着地し、めくれる頁に挟まれて見えなくなった。(了)

余談

今回は、主催者の虚無透さんのご助言に従い、「取材」を行いました。
実質、散歩でしたが、気持ちが大事だと信じます。

少し足を伸ばして中規模程度の交通公園に殴り込みです。

こちらは、サイクリングをしながら交通ルールを学ぶ目的の公園です。そのためか、小学生以下の子供を見かけませんでした。

一回りして遊具などがあるエリア付近のベンチを占領しました。お供は本とミネラルウォーター、コンビニで買ったドーナツです。

木を観察したり、本を読んでいる間は気がつかなかったのですが、帰り際にあらためて確かめると「イヌザクラ」と名札がかかっていました。