ドーナツの穴

twnovelを元に書いた小文を折本にしたり、EPUBにしたりします。うろ覚えな話もします。

映画「ジャッキー・コーガン」感想

今回は、コタツにあたって晩酌しつつの映画鑑賞回顧録になります。

内容詳細


映画『ジャッキー・コーガン』予告編 - YouTube

ジェシー・ジェームズの暗殺』のアンドリュー・ドミニク監督とブラッド・ピットが再­タッグを組み、ブラッドがクールな殺し屋にふんし新境地を切り開いたクライム・サスペ­ンス。裏社会に生きる男たちの生きざまを描くとともに、経済危機にひんしたアメリカ現­代社会の闇を映し出す。共演には『扉をたたく人』のリチャード・ジェンキンス、テレビ­ドラマ「ザ・ソプラノズ/哀愁のマフィア」のジェームズ・ガンドルフィーニ、さらにレ­イ・リオッタ、サム・シェパードら実力派がそろう。(シネマ・トゥディより)

www.cinematoday.jp

前置き

この映画は1970年代に書かれた小説を原作としています。

原作は賭場荒らしの話なのですが、そこにリーマンショック当時*1のアメリカの経済市場界隈を落としこんだもののようです。

面白い試みだと思います。しかし、自分は経済に明るくありません。そこでブラッド・ピットの演じる殺し屋ジャッキー・コーガンを通じて中間管理職の悲哀を描いた映画として見ました。

自分は、この映画は傑作だと考えています。そういった視点からの感想となりますこと、どうぞご留意ください。

ネタバレ

賭場荒らし

2件の賭場荒らしが起こります。

ひとつは過去の事件です。首謀者は賭場の胴元マーキーであることがわかっています。犯行当時は確たる証拠がなく、マーキーに人望があったため不問にふされました。後日、酩酊したマーキー自身が犯行を告白していますが、彼が「好かれていた」ので許されたと劇中で説明されます。

ふたつめは、リアルタイムの事件になります。

前述の事件を利用し、マーキーの犯行と見せかけて賭場荒らしを行い、売上を安全に盗むというリスの立案です。強盗は成功、ついでに賭場にいた客からも金を巻き上げます。胴元であるマーキーは、客から金を盗るなと忠告しますが、強盗ですから当然、聞き入れません。

マーキーが「好かれていた」というのは、前回、賭場の客から金を盗らなかったためなのかもしれません。

やさしく殺す

ジャッキーは3件の殺人を行います。

1人目は、マーキーです。彼は二回目の強盗にはかかわっていませんが、前回の件もあり、見せしめとして粛清する必要が生じていました。

マーキーの殺害シーンは、この映画の中で最も美しい演出が施されています。レスターの「Love Letters」をBGMにスローモーションが多用され、「拷問とかして苦しめてごめんね」というジャッキーの詫び状である銃弾が放たれるのです。

このシーンには賛否両論あるようです。フリードキンや北野武のような一瞬の死というのも、たしかに捨てがたい。しかし、自分はレイ・リオッタの派手な死にざまに大満足でした。

2人目は、クリーニング店を営むギャング、リスの殺害です。ただ最初、リスの側ではなく、ジャッキーの事情で実行犯はNYの殺し屋ミッキーに任されます。

ジャッキーには、殺害する相手を「Killing Them Softly」したいという流儀があります。相手に恐怖を感じさせず、不明のうちに命を奪いたいのです。しかし、ジャッキーはリスに殺し屋だと知られています。赴いただけで目的が露見してしまう。そこで旧知のミッキーを呼び寄せました。

結局のところ、ミッキーは酒と女に溺れ、役に立たちませんでした。ジャッキーは自ら足を運び、リスを狙撃します。ところが遮蔽物となった車に散弾を弾かれたのか、初弾だけでは死にません。しかたなく至近距離から這いずって逃げるリスを殺します。

3人目は強盗の実行犯フランキーです。ジャッキーは彼を恫喝し、リスの居どころを吐かせます。そして助けてやるかのように振舞い、信用させてから殺害します。

ジャッキーの流儀は3件目にして、ようやく成就するのです。残酷なシーンではありますが、ジャッキーのみならず、こちらまでホッとしてしまいました。

もう1人の実行犯ラッセルは麻薬の不法所持で逮捕されます。こうして賭場荒らしの関係者それぞれに制裁が下されました。3人の死と1人の逮捕、収監により事態が収拾されます。

金を払え

上には小突かれ、下からは突き上げをくらってきたジャッキーですが、見事ビジネスを果たしました。後は報酬を受け取るのみ。

3万ドルが支払われます。しかし、ジャッキーは一人につき1万5千で殺しを請け負っていました。3人を始末したわけですから金額と合いません。

ジャッキーの疑問に上層部の連絡係は値下げだと答えます。1人1万になったが、交渉して予定外のフランキーの分も頼んでやったと恩まで着せてくるのです。

この時点で自分は胃が痛くなっていましたが、さすがジャッキーは違います。マーキーが無実の身で粛清されたことを公表するぞと連絡係に示唆しました。そのうえで正当な報酬の支払いを求めます。

余談

見終わった感想は、ホッとしたというのが一番です。最初から最後までブラッド・ピットの中間管理職的な苦悩に胃がキリキリしていました。

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